
「平和プラザ」実行委員のhaseさんから、おすすめ本の紹介です。
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最近こんな本を読みました。
「消えた警官 ドキュメント菅生事件」(坂上遼著、講談社刊、1785円)
1952年に大分県の片田舎で起こった駐在所爆破事件。共産党員や支持者が「現行犯」逮捕されますが、これは警察による自作自演のでっち上げだったことが後に明らかになります。破防法を通すために国家が仕組んだ事件だったといわれています。
この本は、この驚くべき権力犯罪と、それに挑んだ弁護士たちの格闘、さらにジャーナリストたちの活躍を追ったノンフィクションです。
警察と検察、そして裁判所までグルになって無実の人間を罪に陥れようとするとは、なんて野蛮な時代だったのかと思いますが、でも最近のビラまき弾圧事件などを見ると、これは決して過去のことではない! と背筋が寒くなります。冤罪という点では最近再審が始まった菅谷さんの足利事件のような例もありますね。
著者は、小泉内閣以来、政府が「組織犯罪処罰法」に「共謀罪」を入れようと狙う動きの中で、再び表現の自由、内心の自由が奪われる社会にしてはいけない、という思いから筆を執ったといいます。
菅生事件では、事件の鍵を握る「市木春秋」こと戸髙公徳(共産党内にスパイとして送り込まれた警官)を追って、共同通信などの新聞記者が大活躍します。ラジオ局(当時はテレビじゃなかったんですね)や新聞を舞台に、ジャーナリストたちが特ダネ合戦を繰り広げたことが、広く事件を知らせ、世論を喚起する上でどれだけ大きな役割を果たしたか…。
いま、政府や警察の発表を右から左に流す「発表報道」にならされ、ジャーナリズムの原点である「調査報道」がおろそかになっていないか、とこの本は問いかけています。
「平和プラザ2010」では、国公法弾圧・堀越事件(※)を取り上げる予定です。憲法を守ろう! 平和を守ろう! と主張し行動することが罪に問われるような、暗黒の社会の再来を許してはならないとの思いからです。ぜひわかりやすい、世論に訴える展示にしたいものだと、この本を読んで改めて思ったのでした。
※ 国公法弾圧・堀越事件=社会保険庁職員の堀越明男さんが、休日に自宅の周りでビラ(「憲法を守りましょう」と訴えた赤旗号外)を配ったために、公務員の政治活動を禁止する国公法に違反したとして逮捕され、一審で罰金10万円の判決が言い渡され控訴中――という事件です。
hase
「消えた警官 ドキュメント菅生事件」(坂上遼著、講談社刊、1785円)
1952年に大分県の片田舎で起こった駐在所爆破事件。共産党員や支持者が「現行犯」逮捕されますが、これは警察による自作自演のでっち上げだったことが後に明らかになります。破防法を通すために国家が仕組んだ事件だったといわれています。
この本は、この驚くべき権力犯罪と、それに挑んだ弁護士たちの格闘、さらにジャーナリストたちの活躍を追ったノンフィクションです。
警察と検察、そして裁判所までグルになって無実の人間を罪に陥れようとするとは、なんて野蛮な時代だったのかと思いますが、でも最近のビラまき弾圧事件などを見ると、これは決して過去のことではない! と背筋が寒くなります。冤罪という点では最近再審が始まった菅谷さんの足利事件のような例もありますね。
著者は、小泉内閣以来、政府が「組織犯罪処罰法」に「共謀罪」を入れようと狙う動きの中で、再び表現の自由、内心の自由が奪われる社会にしてはいけない、という思いから筆を執ったといいます。
菅生事件では、事件の鍵を握る「市木春秋」こと戸髙公徳(共産党内にスパイとして送り込まれた警官)を追って、共同通信などの新聞記者が大活躍します。ラジオ局(当時はテレビじゃなかったんですね)や新聞を舞台に、ジャーナリストたちが特ダネ合戦を繰り広げたことが、広く事件を知らせ、世論を喚起する上でどれだけ大きな役割を果たしたか…。
いま、政府や警察の発表を右から左に流す「発表報道」にならされ、ジャーナリズムの原点である「調査報道」がおろそかになっていないか、とこの本は問いかけています。
「平和プラザ2010」では、国公法弾圧・堀越事件(※)を取り上げる予定です。憲法を守ろう! 平和を守ろう! と主張し行動することが罪に問われるような、暗黒の社会の再来を許してはならないとの思いからです。ぜひわかりやすい、世論に訴える展示にしたいものだと、この本を読んで改めて思ったのでした。
※ 国公法弾圧・堀越事件=社会保険庁職員の堀越明男さんが、休日に自宅の周りでビラ(「憲法を守りましょう」と訴えた赤旗号外)を配ったために、公務員の政治活動を禁止する国公法に違反したとして逮捕され、一審で罰金10万円の判決が言い渡され控訴中――という事件です。
hase